(06/17)
今月16日、米ヒップホップ・メディアのallhiphopによる「2パック(2pac, Tupak Shakur)を襲撃したと服役中の囚人が告白」との報道が世界中に衝撃を与えたが、このニュースに対して様々な反応が巻き起こっている。
まず目立ったのは「カリスマ的ラッパーの2パックを“射殺”した犯人が判明」という誤解。2パックは射殺される2年前の1994年、2人組の男に5発の銃撃を受け、身につけていた金品を強奪されるという事件に遭遇しており、今回襲撃を告白した終身刑囚人デクスター・アイザック(Dexter Isaac)はこちらの94年の事件について「自分がやった」とコメント。ところが、一方が流れるや、米ニュース・メディアとして一大勢力となっているあのハフィントン・ポスト(huffingtonpost.com)まで「2パック射殺犯が自白」と誤報、後に修正するという騒ぎになった。
また一部ではallhiphopの報道そのものに疑問を持つ向きもあり、そもそもの「告白文」の精査が開始されている。allhiphopが入手した告白文は画像化されてネット上に公開されているが、その内容には「自分が撃った」との‘告白’はなく、「ジミー・ヘンチマン(James “Jimmy “Henchman” Rosemond)の依頼で2パックを襲撃、金品を奪った」ことだけを認めており、未だに奪った品も隠し持っているというもの。当初「2パック銃撃犯が自白」との見出しを掲げていたallhiphopの報道を受けた各メディアは当bmr.jpも含め米Time誌、MTV Newsなど多数がこれにならい、2重、3重に実際の告白とは異なるニュースを流布していたことになる。
デクスター・アイザックは米音楽業界でマネージメント業を中心に活躍してきたジミー・ヘンチマンの関係者。ヘンチマンは先月麻薬取引への関与で指名手配を受けているが、これはヘンチマンの関与をアイザックが証言したことによるものだった。しかしヘンチマンがこれに対し「刑期を軽くしたいがために虚偽の証言をしている」と主張したため、アイザックは今回の告白文発表に踏み切ったという。彼の告白は「(ヘンチマンは)2,500ドルと、オレが盗った宝石のうち指輪ひとつを除いた全部をくれた。その指輪についている宝石は、彼が当時の恋人、シンシア・リード(Synthia Ried)という女性にプレゼントするジュエリーに使うために彼が必要としていた」などと細かな部分までを語っているが、襲撃そのものについては詳細を語らず、自分が撃ったかどうかは言明していない。
また、この報道を受けてニューヨーク市警が事件の再捜査を検討開始したほか、ヘンチマンの弁護士が「完全な虚偽」とのコメントを発表している。
ニュース提供：bmr.jp
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