
(05/07)
米ニューヨークの老舗ラジオ音楽チャンネルで、数々のエピソードでヒップホップ史を彩ってきたKiss FMが閉鎖され、以降スポーツ系ケーブル局ESPNによるスポーツ・チャンネルとして内容が一新されることになった。
1948年に開局したWRKS 98.7FMは、当初はWOR-FMという名称でロックなどを流す音楽チャンネルだったが、81年からKiss FMと改め、R&Bからダンス・ミュージック、そしてヒップホップを流す「ブラック・ラジオ」として人気を博した。特にヒップホップ黎明期には、大御所DJのDJレッド・アラート('Kool' DJ Red Alert)らが人気番組を担当し、他局となるWBLSを拠点としたマーリー・マール(Marley Marl)、ミスター・マジック(Mr. Magic)一派との対立劇「ブリッジ・ウォーズ」(the Bridge Wars)の舞台となったほか、シェップ・ペティボーン( Shep Pettibone)やラテン・ラスカルズ(the Latin Rascals)などのホストによりディスコからハウス・ミュージックへと移り変わる流れを象徴した人気局だった。90年代にはウェンディ・ウィリアムズ(Wendy Williams)らの番組が人気を呼ぶなどしていたが、ヒップホップの定番ラジオ局の座をWQHTのHot 97に奪われ、R&Bを中心とした放送に軸足を移していた。
しかし負債が積み重なり、WRKSがスポーツ局のESPNに売却されることが決定。これにより、ESPN New York 98.7 FMに転換することとなった。このチャンネル転換については、一部番組関係者たちには4月25日頃に伝えられ、29日に正式発表。5月1日には新チャンネルの放送が開始され、特にリスナーにとってはあっという間の幕引きとなったが、インディで活躍する歌手のアンジェラ・ジョンソン(Angela Johnson)が「ブラック・ラジオが死に続けている」と嘆くツイートをするなどKiss FMを惜しむ声が多くあがっている。Kiss FMの放送最終日となった4月30日にはDJレッド・アラートによるトリビュート・ミックスが放送され、このミックスは現在インターネット上でも試聴することが出来る。
ニュース提供:bmr.jp
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