
(07/05)
NYのサウス・ブロンクス地区で生まれたヒップホップ・ムーヴメントは、時代の流れと共に大きな影響力を持って世界に飛び火し、いまや国際的な広がりを見せている。厳格な宗教国としてのイメージが強く、ヒップホップとは縁が薄いと思われた中東でもそれは例外ではないようだ。
これまで紹介されてこなかったヒップホップ文化を描いたドキュメンタリー映画“Mic Check: Hip-Hop In The Middle East (Dubai, UAE)”が現在制作中とのことで、その予告編動画が公開されている。この作品は中東のなかでもUAE(アラブ首長国連邦)、特にドバイのヒップホップ・シーンにフォーカスを当てたドキュメンタリー映画で、米ロサンジェルスとドバイを拠点に活躍するラッパー、ディーン(Deen)のプロデュースによるもの。予告編には「5年前には1人、多くても2人のヒップホップ・アーティストしかいなかった。いまはもう数え切れないほどいるよ。しかもみんな才能豊かなんだ」と語るシーンがあり、UAEのヒップホップが急速に成長している様子が伝えられている。同作品はDJウォーリアー(DJ Warrior)、ザ・リサイプ(The Recipe)、ファット・モー(Phat Mo)、ローン・ジャックス(Rone Jaxx)、ジバリッシュ(Jibberish)などなど、ドバイを中心に活躍するアーティストが多数出演している。予告編のなかで流れる楽曲を聴く限り、かなりアメリカナイズされたサウンドで、アメリカを中心としたポップなスタイルに歩み寄っている様子が伺える。同作品は2011年の公開予定。
さらに、中東のヒップホップという枠組みで見てみると、「アラブ・ヒップホップ」「イラン・ヒップホップ」「イスラエル・ヒップホップ」と3分されており、それぞれが独自の土地や歴史に根ざしたスタイルを展開しているという。特にイスラエルなどは、その土地柄、政治的なメッセージを発信しているラッパーが多く、サブリミナル(Subliminal)というラッパーが高い評価を受けているのが見受けられる。しかしやはり、厳格な中東の国のなかで、ヒップホップの作品は政治的な検閲に引っかかってしまうため、テレビやラジオよりネット上での展開が主であり、まだまだアンダーグラウンドな存在であるという。
ちなみに今年に入ってから、この作品のほかにもアフリカはウガンダでのヒップホップを紹介する映画“Bouncing Cats”が紹介されている他、ミャンマーやキューバなどでもヒップホップ・ミュージシャンの活動が伝えられており、その広がりはとどまるところを知らないようだ。(g)
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映画 "Mic check: Hip Hop in the Middle East"予告編 (英語)
http://jiro.bmr.jp/post/772896089/movie-mic-check-hip-hop-in-the-middle-east
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ニュース提供:bmr.jp
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